はじめに
「相続」という言葉を聞くと、多くの方が複雑な手続きや家族間のトラブルを想像されるかもしれません。実際、相続は私たちの人生で何度も経験するものではなく、いざ直面すると戸惑うことが少なくありません。
当事務所には日々、「何から始めればいいのか分からない」「兄弟と話し合いがうまくいかない」といったご相談が寄せられています。そこで今回は、相続手続きの基本的な流れと、よくある注意点についてご紹介します。
相続手続きの流れ
相続手続きは、大きく分けて以下の流れで進んでいきます。
相続は被相続人(亡くなった方)の死亡によって開始します。死亡届は死亡の事実を知った日から7日以内に提出する必要があります。
故人が遺言書を残しているかどうかを確認します。遺言書がある場合は、その内容に従って相続手続きを進めることになります。自筆証書遺言は法務局での保管制度も活用できるようになりました。
相続人を確定するために、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍を含む)を収集します。これは「戸籍の収集」と呼ばれる作業です。
被相続人が所有していた不動産、預貯金、有価証券、保険金、借金などをすべて洗い出し、その評価額を確定します。
遺言書がない場合や、遺言書に記載のない財産がある場合は、相続人全員で話し合いを行い、誰がどの財産を相続するかを決定します。その結果を「遺産分割協議書」としてまとめます。
遺産分割協議の結果に基づいて、不動産の名義変更(相続登記)、預貯金の名義変更、自動車の名義変更などを行います。
相続財産の合計額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合は、相続開始から10ヶ月以内に相続税の申告と納付が必要です。
必要な書類と取得方法
相続手続きには多くの書類が必要になります。主なものをご紹介します。
1.戸籍関係書類
- 被相続人の戸籍謄本:出生から死亡までのすべての戸籍
- 相続人の戸籍謄本:現在の戸籍
- 被相続人の住民票除票:最後の住所地の市区町村役場で取得
2.不動産関係書類
- 登記事項証明書:法務局で取得
- 固定資産評価証明書:不動産所在地の市区町村役場で取得
- 固定資産税納税通知書:被相続人宛に届いているもの
3.金融資産関係書類
- 預貯金通帳:被相続人名義のもの
- 有価証券残高証明書:証券会社に請求
- 生命保険証書:被相続人が契約していたもの
4.その他
- 実印と印鑑証明書:相続人全員分
- 遺言書:ある場合
- マイナンバーカードまたは通知カード:相続税申告が必要な場合
まとめ
相続は誰もが直面する可能性のある問題です。特に高齢化社会の現在、「親の相続のことを考えておきたい」というご相談も増えています。
大切なのは「早め早めの準備」です。特に以下の点に注意しましょう。
- 生前から財産目録を作成しておく
- 遺言書の作成を検討する
- 相続が発生したらできるだけ早く専門家に相談する
- 家族間でオープンにコミュニケーションを取る
当事務所では相続に関する無料相談を実施しています。「何から始めればいいのか分からない」という方も、お気軽にご連絡ください。専門的な知識と経験を活かして、皆様の相続手続きをサポートいたします。
