「Nginxってよく聞くけれど、何をしているの?」「知らないドメインでもページが表示されるのはなぜ?」
そんな疑問を持つ方に向けて、本記事では Nginxの基本概念と仕組み をわかりやすく解説します。
ホテルの受付係に例えながら、実際のリクエストがどのように処理されるのかを紹介していきます。
Nginxとは?
Nginx(エンジンエックス)は、Webサーバーとして利用されるソフトウェアのひとつです。
役割をひとことで表すと「ウェブサイトの受付係兼案内係」。訪問者(ユーザー)がアクセスしてきたときに、適切なアプリケーションやコンテンツへと案内する役割を担っています。
例えるなら、ホテルのフロントデスクのような存在です。宿泊客が到着するとフロントが名前を確認し、予約している部屋や空いている部屋へ案内するように、Nginxもアクセスしてきたドメインを確認し、適切なサーバーやアプリケーションへリクエストを転送します。
Nginxの仕組みをホテルに例える
実際の処理を、ホテルの例に置き換えて考えてみましょう。
- 訪問者:Webサイトにアクセスしてきたユーザー
- Nginx:受付係(フロントデスク)
- 案内:あらかじめ設定されたルールに従って、適切な場所(アプリやサービス)へ誘導
- 転送:必要に応じて別のサーバーに処理を任せる
このようにNginxは、受付係としてアクセスを受け取り、ルールに基づいて適切な場所へ案内する役割を果たしています。
実際の状況で考える
例えば、ユーザーが a.com にアクセスしたとします。
- 訪問者が到着(ブラウザからアクセス)
- Nginxが受付でドメイン名を確認
- 設定ファイルにルールが書かれていなければ「デフォルト動作」として、既定のアプリやサービスへ案内
この流れでページが表示されるのです。
Nginx設定例(nginx.conf抜粋)
# /etc/nginx/nginx.conf または sites-available/example.conf
http {
server {
listen 80 default_server;
server_name a.com www.a.com;
root /var/www/a.com/html;
index index.html;
location / {
try_files $uri $uri/ =404;
}
}
# デフォルト動作
server {
listen 80;
server_name _; # 未設定のドメインを受ける
root /var/www/default/html;
index index.html;
}
}
設定のポイント
- listen 80 default_server
→ このサーバーブロックがデフォルトとして使われる。 - server_name a.com www.a.com
→ 訪問者のドメインがここに一致すればこのサーバー設定を利用。 - server_name _;
→ どのルールにも一致しない場合の「受付」。未知のドメインはここに案内される。 - root /var/www/
→ ドキュメントルートを指定。ここにHTMLやアプリを置く。
なぜ知らないドメインでも表示されるのか?
1. デフォルト動作
Nginxには「設定が見つからない場合でも、とりあえず処理する」という挙動があります。
ホテルにたとえると「予約がなくても、空いている部屋に案内する」ようなものです。
2. 単一サーバーの場合
設定ファイルに一つのサーバー設定しかない場合、Nginxはそれを使います。
ホテルで部屋が一つしかなければ、そこに案内するしかないのと同じです。
3. IPアドレスの一致
例えば、DNSで a.com → 123.45.67.89 と解決された場合、そのIPアドレスを持つサーバーに接続されます。
同じ建物に複数の入り口があっても、結局は同じ受付につながるイメージです。
実際の動作手順
- Step 1:訪問者がアクセス
- Step 2:Nginxが設定を確認
- Step 3:該当するルールがなければ、デフォルトのアプリやサービスへ案内
こうした流れで、ユーザーは問題なくページを見ることができます。
まとめ
NginxはWebサイトの受付係として、訪問者を適切な場所へ案内しています。ルールがない場合でもデフォルトの挙動としてページが表示されるのは、Nginxの正常な動作です。これはセキュリティ上の問題ではなく、想定された仕組みのひとつです。
つまり、「知らないドメインなのにサイトが表示される」という現象は不具合ではありません。Nginxが裏で柔軟に受付をしているからこそ、ユーザーにとってスムーズな体験が提供されているのです。