制作の記録
Story
アニメーション制作を生成AIでチャレンジ。
これが私の作品のはじまりの、つづき?
これが1作目です。
初めてのAIアニメーション。
何も分からないところから
AIで映像を作るのは、これが初めてでした。だから、うまくいったことより失敗したことのほうが多いです。 ここから先は、その全部を書きます。工程・費用・使った道具・いくら無駄にしたか。
START
2026年8月2日
第1話から
まずは、設定から考えました
企画・構成・セリフは、自分で考えました。 生成AIに使ったのは、作った構成をもとにたたき台のセリフを出してもらうことと、 自分で書いたセリフや構成の誤字脱字・矛盾をチェックしてもらうことです。
登場人物の設定も、名前も、自分で考えました。
名前にも意味があります。
ぐしょう なる
「ナル」=「成る」。想いが現実になる。
ひとの けい
ナルに「日があたる」までの途(みち)に寄り添う存在。主題歌の題「途」「日」もここから。
まるで あい
「丸出(まるで)」+「アイ」=「まるで愛」。
なぜ「つづはじ」なのか
前半が『はじめましての、つづき』なので、略すなら「はじつづ」のほうが普通です。
でも、この作品の略称は「つづはじ」。後半の題からとっています。
なぜ後半なのか。
それは作者の中では、前半の主人公はケイ、後半の主人公はナルです。
でも、40話すべての主人公はナルです。
前半はケイが主人公ですが、ケイはナルだからです。
だから、ナルが主人公である後半の題を略称にしました。
統一できなかったところ
前半は、予算を超えました。だから、いまの仕様のまま公開しています。
服装・背景・絵柄のタッチが、揃っていないところがあります。
正直、そこは不満です。
同じカフェの、同じ窓際の席。
前半と後半で2回出てきます。だから、先に固定しておかないと再現できません。
アイの部屋のカットは、34回の作り直しのうち28回がこれ絡みです。
声を、ゼロから作りました
2週間で6つのサービスを試しました。 決め手になったのは性能ではなく、事故でした。
最初に使っていた ElevenLabs のライブラリ音声の出力が、 一晩で別人の声になりました。同じ設定・同じセリフ・同じ音声IDです。 サポートに問い合わせて、バージョンを固定する手段が無いことが分かりました。 第25話まで作った声が、もう再現できません。
そこから「版を固定できること」を最優先にして、手元で動く道具へ移りました。 他人の声は一つも使っていません。3人の声は、文章で設計して作ったものです。
① ElevenLabs
日本語の疑問形がいちばん自然。英語の音声タグで演技をつけられて、誰の声でもない合成音も作れる。ここまでは完璧でした。
版を固定できない。ライブラリ音声の出力が一晩で変わり、第25話まで作った声が再現できなくなった。同じ設定で4回引くと、声の高さが1回ごとに60〜75Hzばらつく。
② Gemini TTS
演技は試した中でいちばん良かった。モデルに元から入っている話者なので、表現力が別格。
オリジナルの声が作れない。用意された声しか使えない。さらに無料枠だと入力が学習に使われる(課金すれば使われないが有料)。
③ Qwen3-TTS
ローカルで動くので重みが手元にある=版を永久に固定できる。演技を日本語の文章で指示できる。判定は「ElevenLabsより全然いい/90点」。
日本語のアクセントが不安定。同じ「あるある」でも、文によって高低が正反対になる。
④ Style-BERT-VITS2
アクセントを読む前に決めるので、③の問題が解決した。
演技が平坦。学習に4.5時間かけても戻らない。導入の罠が13個。AGPL v3なのでWebに載せるとソース公開の義務が出る。
⑤ Irodori-TTS
学習が要らない。参照音声を30秒渡すだけで声が決まる。導入の罠ゼロ。コードも重みもMITで商用利用可。同じ音を出し直せる。判定は「AI感が消えた」。
文章での演技指定は効かない。演技は参照音声の使い分けで作る(静か/動く/大きい)。
⑥ MiniMax・Seed-VC ほか
MiniMax は同じ手本で試したら③と同じく平坦だった(平坦さは手本から来ていたという発見)。Seed-VC は変換した音が分かる。IndexTTS-2 は商用が別ライセンス。CosyVoice2 は日本語が崩れる。Fish Speech はライセンスの情報が食い違う。
① 版を固定できるか ② オリジナルの声が作れるか ③ 日本語が自然か ④ 演技 ⑤ 費用
①が最優先なのは、公開してから声が作れなくなるのがいちばん困るからです。 40話の作品では、これが性能より先に来ます。
作り方
Makingこの順番以外で作りません。逆にやると作り直しになります。
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01
カット表
1話6カットに収める。費用の8割は動画なので、ここが設計になる
-
02
静止画
同じ場所・同じ物は基準画で固定してから描く。承認が出たら凍結する
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03
音声
機械で検査して、6つの関門を通るまで作り直す
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04
尺合わせ
セリフの長さに合わせて、カットの枠を決める
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05
動画
静止画が全部OKになるまで1本も作らない。動かすのは3〜4本
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06
書き出し
組み直して1本にする。ここは0円
一度OKが出た画は作り直しません。
同じ人物・同じ部屋・同じ小物を何話にもわたって出すので、
気に入った1枚が出たらそこで止めて、以降は編集で直します。
前半20話で、コードで止めたルールは破られた回数0。文章で書いただけのルールは全部破られました。 お金がかかる生成は承認がないと止まり、絵を作る前に設定画と指示文の食い違いを機械で突き合わせます。
使った道具
Tools2週間で入れ替えを繰り返して、最後に残った3つです。
Irodori-TTS
自分のPCで動く音声合成。学習が要らず、参考音声を渡すだけで声が決まります。 重みが手元にあるので、提供元の都合で声が変わりません。 これが最後の決め手になりました。
Gemini 3 Pro Image
静止画と基準画。承認済みの絵を複製してから一部だけ編集する使い方をしています。 ゼロから描かせると、同じ部屋・同じ服が毎回ずれます。
Kling v2.6
静止画を動かします。全体費用の55%がここ。 動かすのは1話に0〜4本だけで、残りは静止画をゆっくり寄せて見せています。
台本・カット表・演出の指示はすべて手で書いています。
AIに丸ごと考えさせた部分はありません。
道具が作るのは「絵」と「声」と「動き」だけです。
わかったこと
Feature
POINT 01
POINT 02
POINT 03
POINT 04
| 前半 | 後半 | |
|---|---|---|
| 作り方 | 基本すべて動画 | 動画+静止画アニメーション |
| 1話のカット | 10.2 | 6.0 |
| 動かす本数 | 10.2本(全カット) | 3〜4本 |
| 1話の実費 | 約3,500円 | 約1,030円(終盤は140〜1,200円) |
| 間取り・服装 | 揃わず | 揃った(やり直しは数回発生) |
| 絵柄のタッチ | 揃わず | いまも揃っていない |
約22,600円
前半20話にかけた額の、4割です。
作り直して捨てた動画クリップ … 約11,000円
統一できずに作り直した静止画(本来ゼロだったはず)… 約1,300円
約122,800円
45.3分 / 1話あたり 約3,070円
| 動画(Kling・Seedance) | 約67,200円 | 55% |
| 静止画(Gemini) | 約47,200円 | 38% |
| 音声(旧版の作り直し前) | 約3,750円 | 3% |
| 声(クラウド音声・のちに解約) | 3,100円 | 3% |
| 主題歌(2曲) | 1,500円 | 1% |
「動画が費用の9割」は動画サービスの中だけの話でした。
全体で見ると、静止画も動画に迫る規模です。
動かす本数を減らすのと同じくらい、絵の作り直しを減らすことが効きます。
詰まったこと、どう解決したか
Problems
40話を作るあいだに、同じところで何度も止まりました。止まった理由と、どう抜けたかを書いておきます。
動画は、77%減らした
はじめましての、つづき
205本
1話あたり 10.2本
つづきの、はじめまして
48本
1話あたり 2.4本
それでも作品として成立しています。 後半には、動画を1本も使っていない話があります——第33話・第34話・第35話・第36話。 この4話は、静止画アニメーションだけで作りました。
動画を使った回と、使っていない回を見比べてもらうと、どこに動画が要るのかが分かると思います。
コラム
Column作りながら書いたものです。詰まったところと、実際に聴ける・見られる証拠を残しています。



