WordPressサイトの移行ツールとして定番だった「All-in-One WP Migration Unlimited Extension」。
しかし2025年6月、提供元のServMask社が使用許諾契約(EULA)を改定し、クライアント向け案件への利用が制限対象となりました。
この記事では、EULA改定の具体的な内容と影響、今後のリスク、さらに代替ツールの選定基準とおすすめプラグインまで詳しく解説します。
目次
従来のマイグレーションの一般的な流れ
多くの制作者が以下のような運用を行ってきました。
- 自社管理のサブドメイン(例:
stg.自社ドメイン.com
)でテストサイト構築 - サイト完成後、All-in-One WP Migrationでエクスポート
- クライアントの本番ドメインにインポートして納品完了
この流れはシンプルで実績も多く、作業効率の面でも広く採用されてきました。
2025年6月のEULA改定:何が変わったのか?
改定日:2025年6月17日(日本時間)
公式に公開された新EULAの主な変更点は以下のとおりです。
項目 | 改定前 | 改定後 |
---|---|---|
使用条件 | 自由(実質的に無制限) | 「自社または所属組織が直接管理するサイトのみに限定」 |
クライアント利用 | 明確な規定なし | 「第三者に提供するサービスとしての利用は禁止」 |
ライセンス形態 | GPL+非公開の商用条件 | 商用アクセス契約による厳密な制限を明文化 |
違反時の措置 | 記載なし | ライセンス無効、損害賠償請求、法的手続きもありうる |
特に注目すべきは、「第三者提供=エンタープライズ契約が必要」と明記された点です。
これは、開発者がクライアントの本番サイトへ移行作業を行うことが明確に契約違反になることを意味します。
今後も使い続けるとどうなるのか?
契約違反のリスク
- クライアント向けの移行作業は、EULA違反に該当する可能性が極めて高い
- ライセンスキーやIP情報、API通信により利用状況の監視が可能
- サポート停止、アップデート拒否、法的通知の対象になり得る
実際にはバレにくい?
現状では、完全自動で使用者を識別する機構はなく、「サイレントに使えてしまう」状況ともいえます。
しかし、今後のバージョンアップやライセンス連携強化により、検出精度が向上する可能性が高いと考えるべきです。
対策:代替マイグレーションプラグインの選定基準
以下の観点で代替ツールを選ぶことが推奨されます。
- GPLライセンスで商用制限なし
- インポート/エクスポートに対応
- クライアント案件への使用実績あり
- 継続的な開発・アップデートがある
- 無料で使える範囲が広い
推奨代替プラグイン:WPvivid Backup Plugin
特徴
- 無料でサイト丸ごと移行が可能
- サイト移行・バックアップ・復元に対応
- Google DriveやFTPなど、クラウド連携も豊富
- 商用利用・クライアント案件にも問題なし(EULA上で制限なし)
- UIもAll-in-One WP Migrationに近く、習得しやすい
主な機能比較
機能 | WPvivid(無料版) | All-in-One WP Migration(無料+Unlimited) |
---|---|---|
サイト全体の移行 | ○ | ○(Unlimitedが必要) |
クラウド保存 | ○(GDrive, FTP, Dropbox等) | 有料拡張で対応 |
URL置換付き復元 | ○ | ○ |
マルチサイト対応 | ×(Proのみ) | 有料拡張で対応 |
商用利用可否 | ○(制限なし) | ×(EULAにより要契約) |
公式URL
よくある質問
- クライアントに移行作業をするのもNGですか?
はい、EULAでは「第三者へのサービス提供」に該当し、クライアント案件への使用は禁止と明記されています。
- テスト環境の構築だけなら問題ない?
自社管理ドメイン内であれば問題ありませんが、その後の移行で商用利用にあたる行為(クライアントに納品)がNGとなります。
- WPvividは商用案件で安心して使えますか?
はい。GPLライセンスで配布されており、使用対象や再販に対する制限がなく、商用利用にも適しています。
まとめ
- All-in-One WP Migration Unlimited Extensionは2025年6月のEULA改定により、商用利用が原則NGに
- クライアント案件での使用は契約違反となり、リスクが生じる
- 今後は、GPLライセンスで使用制限のないWPvivid Backup Pluginなどへの移行が推奨