Azure Speechで日本語のセリフを作った結果と限界
かつ
2026/08/23
この記事で分かること
- Microsoft の Azure Speech で日本語のセリフを作った結果
- SSML で読み方を数値指定できることの利点
- 作品づくりで採用しなかった理由(性能ではありません)
- どういう用途なら向くか
結論を先に書きます
Azure Speech は、性能で落ちたわけではありません。 日本語の疑問形は他社より崩れにくく、読み方を数値で指定できるので再現性があり、費用も安いです。
採用しなかった理由は、声の選択肢だけです。 オリジナルの声を作れないので、用意されたプリセットに合うものがなければ、それ以上どうにもなりません。
声にこだわらない用途なら、むしろ有力な選択肢です。 業務アナウンス、読み上げ、ナレーション。こういう用途では強みがそのまま活きます。
Azure Speech とは
Microsoft が提供する音声のサービス(Speech Service)です。読み上げのほか音声認識なども含みますが、この記事では日本語のセリフを作る用途に絞って書きます。
日本語のニューラル音声のプリセットが用意されていて、そこから選んで使います。
キーはリージョン単位で発行します。 日本国内なら japaneast などです。使うリージョンとキーが対応している必要があるので、最初に決めておいてください。
公式ドキュメント
Azure Speech のドキュメント - チュートリアル、API リファレンス - Foundry Tools音声認識、音声合成、リアルタイムのトランザクションの取得、会話の文字起こし、ボットへの音声...
SSML で読み方を数値で指定できる
Azure Speech の一番の特徴がこれです。
SSML という記法で、読み方を細かく指定できます。 しかも数値で指定できます。実際に使った指定はこういうものです。
| 指定 | 値 | 効果 |
|---|---|---|
| 高さ | -8% |
少し低く読む |
| 速さ | 0.92 |
少しゆっくり読む |
| スタイル | 指定あり | 読み方の傾向を変える |
これがなぜ重要かというと、再現性があるからです。
「もう少し落ち着いた感じで」といった言葉の指示だと、次に同じ結果が出るとは限りません。しかし「高さ -8%、速さ 0.92」なら、次も同じ値を入れれば同じ結果になります。設定を記録して、後から同じものを作り直せるということです。
長い作品を作る場合、これは実務的にかなり大きな利点です。
良かった点
日本語の疑問形が崩れにくい
他社で崩れた疑問形が、Azure Speech では比較的そのまま読めました。
「〜ますか?」の抑揚が保たれます。試した中で、この点をクリアしていたサービスは限られていました。会話の含まれるものを作るなら、ここは重要な判定基準になります。
数値で指定できるので再現性がある
前述のとおりです。言葉ではなく数字で指定できることの価値は、作り直しが発生したときに分かります。
安い
費用が理由で外したことは一度もありませんでした。実測の総額を出していないので具体的な金額は書きませんが、費用面で困る水準ではなかったということです。
採用しなかった理由
正直に書くと、私の評価は**「まだマシ」**でした。
まだマシ
悪くはない、けれど決め手にならない、という意味です。そのあと候補となる声をいくつか出してもらったのですが、
どれも当てはまらない
という結論になり、不採用にしました。
性能の問題ではありません。声の選択肢の問題です。
オリジナルの声を作れない
Azure Speech では、用意されたプリセットから選ぶことしかできません。
作りたいキャラクターに合う声がプリセットの中にあれば問題ありません。しかしなければ、そこで打ち止めです。 「もう少しこういう声が欲しい」と思っても、作る手段がありません。
これが決定的でした。キャラクターに固有の声が必要な作品では、選択肢の中に無ければ話が終わってしまいます。
Custom Neural Voice は個人には重い
自分の声を作る Custom Neural Voice という機能はあります。ただし条件があります。
- 実際の人の録音データが必要
- 審査が必要
つまり、誰かに読んでもらった音声を用意して、申請して、通してもらう必要があります。企業が自社のブランド音声を作るなら妥当な手順ですが、個人が作品を作るには重すぎました。
文章で説明するだけで新しい声を作れるサービスと比べると、ここは手間の差が大きいです。
向く用途/向かない用途
向いています
- 業務アナウンス。 声の個性より、聞き取りやすさと再現性が大事な用途です
- 読み上げ。 文書やニュースの読み上げなら、プリセットで十分です
- ナレーション。 語り手の声にこだわりがなければ、SSML で細かく調整できるぶん有利です
- 設定を記録して、後から同じものを作り直したい場合。 数値指定なのでこれができます
向いていません
- キャラクターに固有の声が要る作品。 プリセットに合うものがなければ打ち止めです
- 声そのものを作り込みたい場合。 Custom Neural Voice は録音データと審査が必要です
これから使う人へ
- まずプリセットを全部聞いてください。 この判断が最初に来ます。合う声があるなら、Azure Speech は再現性の面でかなり有利です。無ければ、他を探したほうが早いです
- SSML の指定値は必ず記録してください。 「高さ -8%、速さ 0.92」のような値をメモしておけば、後から同じ音声を作り直せます。これがこのサービスの一番の利点です
- キーはリージョン単位で発行されます。
japaneastなど、使うリージョンとキーを対応させてください。ここを間違えると動きません - Custom Neural Voice を検討する前に、手間を確認してください。 実際の人の録音データと審査が必要です。個人の作品づくりには重い可能性があります
- 生成した音声は保存しておいてください。 サービス側の更新で同じ音声が作れなくなることがあります。他社で実際に起きました
まとめ
Azure Speech は、日本語の疑問形が崩れにくく、SSML で読み方を数値指定できて再現性があり、費用も安いサービスでした。
採用しなかったのは、オリジナルの声を作れないという一点だけです。 用意されたプリセットに合う声がなければ、それ以上どうにもなりません。作品のキャラクターに固有の声が必要だったので、ここで外れました。
裏を返せば、声にこだわらない用途なら、この弱点は問題になりません。 業務アナウンスや読み上げ、ナレーションであれば、数値で指定できて再現性があるという強みがそのまま活きます。用途がはまれば強いサービスだと思います。
他のサービスとの比較は別の記事にまとめています。費用や商用利用の条件をサービスごとに並べているので、選ぶ段階の方はそちらも見てみてください。
この検証は、現在制作中の長編AIアニメーションの制作過程で行っています。作品の公開が始まったら、この記事からもお知らせします。
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この記事の著者・監修
カツ
カツプロ運営者のカツです! AI・Web関連から、日常のことなど、私目線の回答も交えながらお伝えします!
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