無料のローカル音声AIを試した|AivisSpeechの実力
かつ
2026/08/23
この記事で分かること
- 自分のPCで動く無料の日本語音声AI(AivisSpeech)でできること
- 実際に試した音声モデルと、その結果
- ライセンスの落とし穴(無料でも商用で使えないものがある)
- 不採用になった決定的な理由
結論を先に書きます
費用をかけずに日本語の読み上げをしたいなら、これが一番です。 完全無料で回数制限もなく、ネットに送信もしません。日本語専用に作られているので、他社で崩れた疑問形の抑揚も素直でした。
ただし、作品として世に出す長尺のセリフには使えませんでした。 理由は滑舌です。長いセリフになるほど聞き取りづらくなりました。
そしてもう一つ。無料だからといって商用で使えるとは限りません。 モデルごとにライセンスが違い、非商用のものが混ざっています。ここは必ず確認してください。
AivisSpeech とは
自分のPCで動く日本語の音声合成エンジンです。 サーバーを立ち上げると 127.0.0.1:10101 で待ち受ける形になり、そこに文章を渡すと音声が返ってきます。
音声そのものは、配布されている音声モデルを選んで使います。Style-Bert-VITS2 系のモデルが多数配布されていて、その中から声を選ぶ形です。
無料です。回数制限もありません。 そして入力した文章がネットに送信されません。
公式サイト
Aivis Project | AivisSpeech でかんたんに感情豊かな音声合成、使ってみませんか?Aivis Project は、感情豊かな音声合成技術を誰もがかんたんに活用できる未来を目指す、壮大な開...
音声モデルの配布元(Style-Bert-VITS2)
GitHub - litagin02/Style-Bert-VITS2: Style-Bert-VITS2: Bert-VITS2 with more cont...Style-Bert-VITS2: Bert-VITS2 with more controllable voice styles. - litagin02/Style-Bert-V...良かった点
完全無料、回数制限なし
自分のPCで動くので、何回作り直しても費用は増えません。
これは思っていた以上に効きます。有料サービスだと、声を探している期間に費用が跳ね上がります。実際、別のサービスでは月ぶんのクレジットを1日で使い切ったことがありました。ローカルならそれがありません。納得いくまで試せるというのは、それ自体が価値です。
ネットに送らない
入力した文章が外部に出ません。公開前の台本を扱う場合、ここを気にする人はいると思います。ローカルで完結するので、その心配自体がなくなります。
モデルを手元に置けるので、提供元の都合で消えない
これが個人的には一番大きな利点でした。
クラウドのサービスは、提供側の更新で出力が変わることがあります。実際に別のサービスで、同じ設定・同じ文章なのに声が別人に変わったことがありました。バージョンを固定する手段がなかったので、こちら側では防げませんでした。
ローカルなら、モデルファイルが手元にあります。 提供元が配布をやめても、自分の環境では動き続けます。長期の作品を作るうえで、この安心感は他にないものでした。
日本語専用なので疑問形の抑揚が素直
他社では「〜ますか?」の抑揚が崩れて、セリフを平叙文に書き換えることになりました。AivisSpeech ではここは問題になりませんでした。 日本語専用に作られているだけのことはあります。
実際に試した音声モデルと結果
配布されているモデルをいくつも試しました。結果を正直に書きます。
まお/こはく
想定していた役柄に合いませんでした。私の反応はこうです。
まおもこはくも若いな声が。もっと落ち着いた大人の女性でおしとやかな女性ってイメージなんです
声の質が悪いという話ではなく、イメージに合わなかったということです。
morioki
これは別の問題でした。
morioki は少年なんですけど
モデルの説明と、実際に聞いた声が食い違っていました。 説明を読んで期待した声と違うものが出てきた、ということです。
らせつん
同じく、説明と実際の印象が合いませんでした。
天深シノ
声としては候補になりました。 ここまでで一番近かったモデルです。
しかしライセンスが ACML-NC(非商用)で、使えませんでした。 商用の作品に使えないライセンスだったということです。
これが後述する落とし穴です。良い声を見つけてから使えないと分かる、という一番つらい流れになりました。
Style-Bert-VITS2 の v2_08_Rina
一度は採用寄りになりました。
これは結構イメージに合います
イメージには合っていました。しかし最終的に不採用になります。理由は次に書きます。
不採用になった決定的な理由:滑舌
最終的な判断はこれでした。
どれも滑舌が悪くて聞き取り辛い
短いセリフなら気になりません。長くなるほど聞き取りづらくなります。
読み上げやアナウンスのような用途なら十分実用になると思います。しかし長いセリフが続く作品では、聞き手の負担が積み上がります。40話ぶん聞き続けることを考えると、ここは妥協できませんでした。
イメージに合う声を見つけても、この問題は残りました。声の選択で解決できる問題ではなかったということです。
ライセンスの落とし穴
ここが一番注意すべき点です。
配布されている音声モデルは、モデルごとにライセンスがバラバラです。
その中に ACML-NC(非商用) のモデルが混ざっています。前述の「天深シノ」がこれでした。声としては一番近かったのに、ライセンスの条件で使えませんでした。
エンジン自体が無料で、モデルも無料でダウンロードできるので、全部自由に使えると思ってしまいがちです。 そうではありません。
声を探す前に、まずライセンスを見てください。 使えないモデルを候補から外してから聞き比べたほうが、時間の無駄が減ります。良い声を見つけてから条件を確認して落とす、という順番だと精神的にもきついです。
その他の弱点
オリジナルの声を作れない
配布されているモデルから選ぶだけです。 文章で説明して新しい声を作る、といったことはできません。
キャラクターに合うモデルが配布されていなければ、そこで打ち止めです。これは有料サービスの一部と比べたときの差になります。
モデルの説明と実際の声が食い違うことがある
「少年」と書かれているモデルが、聞いてみると想定と違う。こういうことが複数回ありました。
必ず試聴してから決めてください。 説明文だけで判断すると、後でやり直しになります。
向く用途/向かない用途
向いています
- 社内用の読み上げ。 無料で回数制限もありません
- 下書き。 本番前に台本のテンポを確認する用途なら十分です
- 費用をかけたくない読み上げ全般
- 入力を外部に出したくない場合。 ローカルで完結します
向いていません
- 作品として世に出す長尺のセリフ。 滑舌の問題が出ます
- キャラクターに固有の声が必要な場合。 配布モデルから選ぶだけです
- 商用利用が前提で、条件を確認する余裕がない場合。 モデルごとにライセンスが違います
これから使う人へ
- モデルを聞き比べる前に、ライセンスで絞り込んでください。 ACML-NC(非商用)のモデルが混ざっています。良い声を見つけてから使えないと分かるのが一番つらい流れです
- 必ず試聴してください。 モデルの説明と実際の声が食い違うことがあります。「少年」と書かれていて想定と違った、ということが複数回ありました
- 長いセリフで試してください。 短い文では気づきませんが、長くなるほど滑舌の差が出ます。実際に使う長さで判断してください
- モデルファイルは保存しておいてください。 ローカルの最大の利点は、提供元の都合で消えないことです。手元に置いておけば、配布が終わっても使い続けられます
- 用途を分けて使うのも手です。 下書きはローカル、本番は有料サービス、という使い分けなら費用を抑えられます
まとめ
AivisSpeech と Style-Bert-VITS2 系のモデルは、完全無料で回数制限もなく、ネットに送信もしないという強い利点があります。日本語専用なので疑問形の抑揚も素直でした。そしてモデルが手元にあるので、提供元の都合で消えません。 クラウドのサービスで声が変わる経験をしたあとでは、この価値は大きいです。
不採用にしたのは滑舌です。 長いセリフになるほど聞き取りづらくなり、長尺の作品には使えませんでした。
もう一つ、ライセンスは必ず確認してください。 無料で配布されていても、商用で使えないモデルが混ざっています。声を探す前に条件で絞り込むのが、結果的に一番早いです。
他のサービスとの比較は別の記事にまとめています。費用や商用利用の条件をサービスごとに並べているので、選ぶ段階の方はそちらも見てみてください。
この検証は、現在制作中の長編AIアニメーションの制作過程で行っています。作品の公開が始まったら、この記事からもお知らせします。
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この記事の著者・監修
カツ
カツプロ運営者のカツです! AI・Web関連から、日常のことなど、私目線の回答も交えながらお伝えします!
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