楽天カードや楽天銀行にAPIは無い。でもマネーフォワード経由なら自分のシステムから読める
かつ
2026/09/23
自分で作った管理画面に、口座の残高やカードの利用を出したいと思ったことはないでしょうか。売上と経費を並べて、いま手元にいくらあるかを1画面で見たい。
ところが、いざ作ろうとすると壁にぶつかります。銀行やカード会社は、個人が自分のデータを読むためのAPIを公開していないからです。
この記事は、そこをどう回避したかの記録です。結論から言うと、クラウド会計を「窓口」にしました。
3行でまとめると
- 銀行のAPIは「外部サービス会社」向け。個人が自分の口座を読むために使えるものとしては公開されていない
- カードの利用明細にAPIは見当たらない。公式の案内はWEB明細からのダウンロード
- でもクラウド会計には、すでに連携した明細が入っている。そのAPIを叩けば、自分のプログラムから読める
銀行やカード会社のAPIは、誰のためのものか
まず、公開されている情報を確かめました。
銀行のAPI
楽天銀行はAPIサービスを提供しています。利用規定を読むと、できることはこう書かれています。
- 参照系:口座情報照会・残高照会・入出金明細照会
- 更新系:振込(振替を含む)
機能だけ見れば、まさに欲しいものです。ただし規定の第1条には、これは「外部サービス会社が提供するサービスと連携させることが可能になるサービス」と書かれています。外部サービス会社とは「APIを介してお客さまにさまざまなサービスを提供する外部事業者」のことです。
さらに別ページの「電子決済等代行業者との連携及び協働に係る方針」では、電子決済等代行業者をはじめとするパートナーとの連携を進めるとされ、「電子決済等代行業者に求める事項の基準」「電子決済等代行業者との契約内容」という別の文書が参照されています。
つまりこのAPIは事業者向けの仕組みで、個人が自分の口座を読むために申し込めるものとしては案内されていません。
カードのAPI
楽天カードの場合、利用明細を取得するAPIは見当たりませんでした。公式が案内しているのはWEB明細サービスからのダウンロードです。会員ページやアプリから、PDFまたはCSVで落とす形になります。
手で落とす分には問題ありませんが、毎朝プログラムから読むという使い方はできません。
ところが、クラウド会計にはもう入っている
ここで発想を変えました。
クラウド会計に銀行やカードを連携すると、明細が自動で入ってきます。これは会計サービス側が各社と連携する仕組みを持っているからできることです。
そしてクラウド会計にはAPIがあります。つまり、こうつなげます。
銀行・カード会社 → クラウド会計(連携)→ API → 自分のシステム
自分で各社とつなぐ代わりに、すでにつないでいるサービスを経由するという考え方です。
実際に取れるもの
マネーフォワード クラウド確定申告のAPIで、自分が実際に使っているものを挙げます(2026年9月時点・カツプロ調べ)。
① 口座の入出金・カードの利用明細
連携しているサービスのIDと期間を指定すると、明細が返ってきます。返ってくるのは、日付・金額・入金か出金か・取引の内容(お店の名前など)・仕訳済みかどうか、といった項目です。
次のような絞り込みができます。
- どの口座・どのカードか(連携サービスのIDで指定)
- 期間(開始日と終了日。366日以内)
- 金額の範囲(○円以上・○円以下)
- 取引の内容に含まれる文字(部分一致・前方一致などを選べる)
- まだ仕訳にしていないものだけ、という絞り込みもできる
この最後が便利で、「未仕訳のものだけ取ってきて処理する」という使い方ができます。
② 仕訳と、集計されたレポート
明細だけでなく、帳簿の側も読めます。
- 仕訳の一覧(日付・勘定科目・金額・摘要)
- 残高試算表(貸借対照表・損益計算書)。補助科目まで分けて取れる
- 推移表(月ごとの売上・経費・残高の動き)
自分の場合、この推移表から「今年ここまでの売上と経費」を取って、着地の見込みを計算しています。会計ソフトの画面を開かなくても、いまの数字が自分のシステムに出るようになりました。
③ 仕訳を登録することもできる
読むだけでなく、書くこともできます。未仕訳の明細に「この勘定科目で」と指定して仕訳にしたり、明細のない支払い(現金など)を直接登録したりできます。
取れなかったもの:カードの請求額
ここは期待して調べたのですが、取れませんでした。
「今月末にカードでいくら引き落ちるか」を出したくて、連携サービスの情報を取ってみたところ、返ってきたのは連携サービスのIDと名前だけでした。引き落とし予定額は入っていません。
では明細を月ごとに合計すればいいかというと、これも合いません。カードを使った日とカード会社が請求に載せる日が違うためです。月末近くに使った分は翌月の請求に回ります。自分の環境では13,455円ずれました。
結局この部分は、カード会社の画面で確定額を見て月1回だけ手で入れる形に落ち着きました。すべてを自動にしようとすると、かえって数字が狂います。
使うときに気をつけていること
反映のタイミングはずれる
カードを使ってから明細がクラウド会計に入るまでには、数日かかります。「今日使った分」はまだ入っていません。「いまの残高」を出すときは、この遅れを前提に考える必要があります。
APIキーの置き場所
APIキーは、口座の中身を読めてしまう情報です。当然ですが、次のことは守っています。
- ソースコードに書かない(環境変数か、設定ファイルに分けて置く)
- 設定ファイルはバージョン管理に入れない
- ターミナルに値を出さない(ログに残ってしまうため)
呼ぶ回数を減らす
毎回すべてを取り直すのではなく、「未仕訳のものだけ」「先月からの分だけ」と絞って呼んでいます。必要な範囲だけ取るほうが速いですし、相手のサービスにも負担をかけません。
これで何ができるようになったか
自分の管理システムに、こう出せるようになりました。
- 口座ごとの残高と、その合計
- カードで後日引き落ちる額(月ごと)
- 今月・今年の売上と経費(帳簿の数字そのまま)
- 案件の入金予定と突き合わせた、今後の見込み
スプレッドシートに書き戻したり、チャットワークに毎朝通知したりもしています。一度APIでつながってしまえば、あとはどこへでも配れます。
まとめ
銀行やカード会社が個人向けにAPIを公開していなくても、すでに連携しているサービスを窓口にすれば、自分のプログラムからデータを扱えます。
考え方としては単純ですが、これに気づいてから、作れるものの幅が広がりました。会計ソフトを「記帳する場所」ではなく「お金のデータが集まる場所」として見ると、使い道が変わります。
ただし万能ではありません。カードの請求額のように、そもそも入っていないデータは取れません。そこは手でやると割り切ったほうが、結果的に正確でした。
実際にこの仕組みで毎朝の経理を自動化した話は、別の記事にまとめています。ルールの作り方やつまずいた突き合わせの話はマネーフォワードのAPIで、毎朝ぜんぶ自動で締める経理をつくったをどうぞ。
この記事の著者・監修
カツ
カツプロ運営者のカツです! AI・Web関連から、日常のことなど、私目線の回答も交えながらお伝えします!
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