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セキュリティ 2026年11月4日

無料プレスリリースに載っている会社は信用できる?投資勧誘の「掲載実績づくり」の見分け方

かつ

かつ

2026/11/04

無料プレスリリースに載っている会社は信用できる?/令和7年のSNS型投資詐欺 9,523件・被害額1,288.0億円・最初の接触が広告とDMで約8割(警察庁)

「いろいろなニュースサイトに載っているから、ちゃんとした会社なんだろう」。そう思って社名を検索したことはありませんか。

結論から書くと、**無料で、誰でも、確認なしで載せられるプレスリリースのサイトに載っていることは、会社の信用の証明になりません。**むしろ投資の勧誘では、そうしたサイトを順に回って「掲載実績」を作る形が見られます。カツプロPRの審査で、実際にその形の申請が届きました。

この記事では、その流れと、載せる側の狙い(検索・被リンク・AIの回答)、読む側が自分で確かめられる手順をまとめます。

カツプロPRに届いた申請

2026年11月、海外の会社を名乗る申請者から、カツプロPRに次の内容のプレスリリースが届きました(会社名と掲載先の名前は伏せます)。

  • AIを使って売買をまねる「コピー取引」への参加の案内
  • 知人を紹介すると、紹介した人の取引の手数料から報酬が出る「紹介制度」
  • 参加の入口は「すでに参加している人の推薦」か「申請」
  • 「多階層の勧誘ではない」「利益は保証しない」「日本で金融の許可を取ったという発表ではない」という断り書き

申請には「公開資料」として、別の無料プレスリリースのサイトに載った記事が挙げられていました。そこでさかのぼると、次の順に載っていました。

日付 載せた所 「公開資料」として挙げていた先
1日目 無料のプレスリリースのサイト2つ ―
2日目 別の無料のプレスリリースのサイト(登録不要) 1日目の2つ
3日目 カツプロPRに申請 2日目のサイト

中身は毎回ほぼ同じで、言い方だけ少しずつ変えていました。前に載った所を根拠に次の所へ出す形なので、載せる所が増えるほど「あちこちに載っている会社」に見えていきます。

カツプロPRでは、金融庁の登録業者の一覧に名前が無いことを確かめ、掲載規約 第3条(詐欺・違法な勧誘・マルチ商法など、犯罪または被害につながるおそれのある内容)に当たるとして掲載をお断りしました。

なぜ「無料・確認なし」のサイトが使われるのか

プレスリリースを載せるサイトは、いまはAIを使えば短い時間で作れます。集客のために「無料・登録不要・すぐ載る」を売りにして、掲載前に中身を確かめない作りのサイトも少なくありません。今回の申請で「公開資料」に挙げられていたサイトも、どれも誰でも投稿できる作りでした。

載せる側から見ると、こうしたサイトは「審査で止められない掲載先」です。社名で検索した人には、そうした記事が何件も並んで見えます。載っている数と、中身が確かめられたかどうかは別の話です。

載せる側は、何を狙っているのか

プレスリリースをたくさんのサイトに載せることには、載せる側にとってはっきりした得があります。だからこそ、悪い使い方もされます。

1. 社名を検索した人に「載っている記事」を並べる

広告やDMで興味を持った人は、たいてい社名を検索します。そこに「〇〇が公開資料を発表」という記事が何件も並んでいれば、それだけで「ちゃんとした会社」に見えてしまいます。

2. 自社のサイトへのリンク(被リンク)を増やす

記事には、たいてい自社のサイトへのリンクが入っています。ほかのサイトからのリンクは、検索で評価されるための材料の一つです。ただしGoogleは、検索の評価のために「ほかのサイトに配信されたプレスリリースの中の、最適化されたアンカーテキストのリンク」を、リンクスパムの例として挙げています。

3. AIの回答に出やすくする

カツプロでは、ChatGPTやGemini、Googleの「AIによる概要」などのAIの回答は、会社が自分で書いた紹介より、ほかのサイトに書かれた紹介(他己紹介)を引用する傾向があると見ています。

その見方を裏づける調査があります。Ahrefsが7万5千のブランドを調べた調査(2025年5月26日公開)では、Googleの「AIによる概要」にブランド名が出ることとの相関は、ほかのサイトでの言及が0.664で、被リンクの数(0.218)よりずっと強い結果でした(筆者自身が「相関は因果ではない」と書いています)。

つまり、無料のプレスリリースのサイトに「他己紹介」の記事を何件も作っておけば、AIに社名を聞いた人に、その記事をもとにした説明が返ってくることがありえます。AIの回答に名前が出たことも、信用の証明にはなりません。

投資の勧誘の被害は、広告とDMから始まっている

警察庁の令和7年の確定値(2026年6月5日公表)では、SNS型投資詐欺の認知件数は9,523件、被害額は1,288.0億円で、どちらも前の年より増えました。最初の接触の手段は、バナー等の広告が3,785件、ダイレクトメッセージが3,549件で、この2つで全体の約8割を占めています。

最初の接触で興味を持った人が社名を検索したとき、プレスリリースの記事が並んでいれば、信用してしまうきっかけになりえます。

自分で確かめる5つの手順

1. 金融庁の「登録業者」の一覧に名前があるか

投資の勧誘をしている会社なら、まず金融庁の登録業者の一覧で名前を探します。金融庁は「日本で登録を受けずに金融商品取引業を行うことは違法です」と書き、海外の会社でも日本の居住者を相手に業として行うには登録が要ると説明しています。

2. 金融庁の「警告を受けた無登録業者」の一覧を見る

金融庁は、無登録で営業しているとして警告書を出した業者の名前を公表しています。ただし金融庁自身が「掲載されていない者でも、無登録営業に該当する行為を行っていることがあり得ます」と書いています。一覧に無いことは、安全の証明になりません。

3. 公式サイトと所在地が確かめられるか

会社の公式サイトが開けるか、所在地・代表者・連絡先が書かれているかを見ます。今回の申請では、名乗っていた会社の公式サイトはエラーで開けませんでした。

4. 載っているサイトが「掲載前に確かめているか」

プレスリリースのサイトの「掲載基準」「運営者」のページを見ます。誰でも登録なしで載せられ、掲載前の確認について何も書かれていないサイトなら、そこに載っていることは何の確かめにもなっていません。

5. 断り書きがそろいすぎていないか

「多階層ではない」「利益は保証しない」「許可を取ったという発表ではない」。こうした断り書きを先回りしてそろえる書き方は、掲載先の審査や、あとからの責任を避けるためにも使われます。断り書きがあることは、安心の材料にはなりません。

勧誘を受けたら

金融庁は、無登録の海外業者から勧誘を受けたときは、金融サービス利用者相談室の「詐欺的な投資に関する相談ダイヤル」(0570-050588)に情報を寄せるよう呼びかけています。

カツプロPRの掲載の考え方

カツプロPRは、申請を確かめてから掲載します。投資・金融に関わるものは、登録の有無を金融庁の一覧で確かめ、掲載規約に当たるものはお断りしています。

よくある質問

Q. 有名なニュースサイトの名前が並んでいれば大丈夫ですか? A. 「どのサイトに載ったか」より「そのサイトが掲載前に確かめているか」を見てください。無料で誰でも載せられるサイトは、名前が並んでいても確かめの代わりになりません。

Q. 金融庁の警告の一覧に名前が無ければ安全ですか? A. いいえ。金融庁は、一覧に載っていなくても無登録営業をしている場合があると書いています。登録業者の一覧に名前があるかを確かめてください。

Q. AIに社名を聞いたら、ちゃんとした会社だと説明されました。大丈夫ですか? A. AIの回答が何を元にしているかを見てください。元が無料のプレスリリースの記事だけなら、会社が自分で書いた文を、AIが言い直しているだけかもしれません。登録業者の一覧で確かめるのが先です。

Q. 「紹介すると報酬が出る」投資は全部だめですか? A. 紹介の仕組みそのものではなく、相手が日本で登録を受けた業者かどうかが先です。登録の無い業者の勧誘には乗らないでください。

出典

この記事の著者・監修

カツ
生成AIエンジニア/フロントエンドエンジニア/舞台監督などなど

カツ

カツプロ運営者のカツです! AI・Web関連から、日常のことなど、私目線の回答も交えながらお伝えします!

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