AdSenseのインプレッションが減る|2027年2月の計測方式変更
かつ
2026/09/01
この記事で分かること
- 2027年2月17日に AdSense の何が変わるのか(1行で言うと「数え方」だけです)
- 「ダウンロード開始時」と「レンダリング開始時」は何が違うのか
- インプレッションが減りやすいサイトと、ほとんど変わらないサイトの見分け方
- 収益はどうなるのか(ヘルプに書いてあることと書いていないことを分けて整理します)
- 今のうちにやっておくこと3つ
結論を先に書きます
対応は要りません。2027年2月17日に自動で切り替わります。
変わるのはインプレッションの数え方だけです。実際に表示された広告の数が減るわけではありません。今まで「表示された」として数えていた中に、実際には表示されなかったものが混ざっていた。それが数えられなくなる、という話です。
ただし、ひとつだけ確実に困ることがあります。2027年2月17日を境にインプレッション数が段差になるので、前年同月比が比較できなくなります。 数字が落ちたときに「サイトが悪くなった」と勘違いしないよう、日付を控えておいてください。
何が変わるのか
Google AdSense から、2026年8月末にサイト運営者向けのお知らせが届きました。ディスプレイ広告のインプレッションのカウント方式を変更する、という内容です。
| 現在(〜2027年2月16日) | 2027年2月17日〜 | |
|---|---|---|
| 方式の名前 | ダウンロード開始時(count-on-download) | レンダリング開始時(begin-to-render) |
| 数える瞬間 | 広告がユーザーのデバイスへダウンロードされ始めた時点 | 広告が正常に読み込まれ、描画が始まった時点 |
| 数え方 | ゆるい(多めに出る) | 厳しい(実態に近い) |
広告が画面に出るまでには、実際にはいくつもの段階があります。
① 広告のリクエストが飛ぶ
② 広告がデバイスにダウンロードされ始める ← 今はここで 1 カウント
③ 読み込みが終わり、描画(レンダリング)が始まる ← これからはここで 1 カウント
④ 画面内に一定時間見えた ← ビューアブルインプレッション(今回の変更とは別物)
②と③のあいだで人が離脱すると、広告は一度も画面に出ていないのに1回と数えられていました。 そこを詰めるのが今回の変更です。
④と混同しないでください。 レンダリング開始時方式は「描画が始まった」であって、「ユーザーの目に入った」ではありません。ビューアブルインプレッション(広告の面積の50%以上が1秒以上表示された、というIABの基準)は今まで通り別の指標として存在します。今回の変更で AdSense のインプレッションがビューアブルの数字になるわけではありません。
対象になるもの・ならないもの
| 広告の種類 | 今回の変更 |
|---|---|
| ディスプレイ広告(モバイルウェブ・デスクトップ・CTV のバナー) | これが対象 |
| ネイティブ広告 | 対象外(すでにレンダリング開始時方式) |
| アプリ内広告 | 対象外(すでに対応済み) |
| 動画広告 | 対象外(すでに対応済み) |
つまり、変更されるのは「まだ古い数え方が残っていたところ」だけです。 ネイティブ・アプリ・動画はとっくにレンダリング開始時方式になっていて、ディスプレイ広告が最後に残っていた、というのが正しい理解です。
Google Ad Manager でも同時に実施されます。AdSense だけの話ではありません。
WebView 内の広告(アプリの中でWebページを開くタイプ。X や LINE のアプリ内ブラウザなど)は、モバイルウェブと同じ扱いでレンダリング開始時方式に移ります。
なぜ変えるのか
Google の説明は「業界標準に合わせるため」です。IAB(インタラクティブ広告協議会)や MRC(メディア評価協議会)の基準に準拠するためだとしています。
もう少し噛み砕くと、広告を買う側と売る側で数え方がズレていた、という話です。広告を買う側のプラットフォームはとっくにレンダリング基準で数えているのに、売る側の AdSense がダウンロード基準のままだと、同じ配信について両者のレポートの数字が合いません。この食い違いをなくす、というのが本当の動機だと読めます。
どのくらい減るのか
ヘルプには「合計インプレッション数が減る可能性がある」としか書かれていません。何%という数字は出ていません。
減る分の正体は「ダウンロードは始まったが、描画されなかった広告」です。具体的には、こういう場面で起きます。
- ページを開いた直後に戻る・閉じる(描画が間に合わない)
- 記事下やフッターの広告まで到達する前に離脱する
- 回線が遅い(モバイル、電波の悪い場所)
- ページが重く、広告の描画までに時間がかかる
- 広告のクリエイティブ自体の要素が多く、ダウンロードに時間がかかる
ですから、減りやすいのはこういうサイトです。
| 減りやすい | ほとんど変わらない |
|---|---|
| 直帰が速い(検索から来てすぐ戻る) | 滞在が長く、じっくり読まれる |
| ページが重い・表示が遅い | 表示が速い |
| モバイル比率が高い | デスクトップ中心 |
| ファーストビュー外に広告が多い | 画面上部に広告がある |
自分の運営サイトで言うと、検索から来てすぐ戻る読者が多いサイトほど影響を受けると見ています。
もうひとつ、これは私の推測として書きますが、自動巡回(ボット)由来の水増しも一部は消えるかもしれません。 自分のサイトのアクセス解析を洗ったとき、アクセスの約7割がヘッドレスブラウザによる巡回でした。ページを取得するだけで描画まではしない動きなら、ダウンロード基準では数えられて、レンダリング基準では数えられません。ヘルプにそこまでは書かれていないので、あくまで想像です。
収益はどうなるのか
ここが一番気になるところだと思いますが、ヘルプページに収益への影響は一切書かれていません。 書かれていないことを「大丈夫です」と言い切るのは無責任なので、事実と解釈を分けます。
事実として書かれていること
- インプレッション数は減る可能性がある
- 対応は不要、自動で切り替わる
- 収益・CPM への言及は無い
ここから先は私の解釈です
広告主が支払うのは、基本的に実際に配信された広告に対してです。今回消えるのは「ダウンロードされたが描画されなかった」分、つまりもともと収益になっていなかった可能性が高い分です。だとすれば、収益額そのものは大きく動かず、見かけの数字だけが動くはずです。
| 指標 | 予想される動き |
|---|---|
| インプレッション数 | 減る |
| インプレッション単価(CPM) | 上がって見える(分母が減るため) |
| 推定収益額 | ほぼ横ばい(と考えるのが自然) |
| ページ RPM(1000PVあたりの収益) | 影響を受けない |
判断に使う指標を、いまのうちにページRPMへ寄せておくのが安全です。 ページRPMは分母がページビューなので、広告インプレッションの数え方が変わっても揺れません。CPM を基準に「単価が上がった/下がった」と一喜一憂すると、2027年2月17日以降は判断を誤ります。
今のうちにやること3つ
① 2027年2月17日を控えておく
レポートに注記を入れるか、カレンダーに入れておきます。この日を境に数字が段差になるので、前年同月比が壊れます。 半年後に「なぜ落ちたのか」と原因を探して時間を溶かすのが一番もったいない。
② 月次のレポートを手元に残す
切替前の数字を、CSV でも構わないので毎月落として保存しておきます。切替後に「どれくらい減ったのか」を自分のサイトで測れるのは、切替前のデータを持っている人だけです。
③ 表示速度と広告の位置を見直す
これは今回の変更に限らず効く話ですが、今回の変更で効きが少しはっきりします。 描画されるまで数えられないのだから、速く描画されるサイトが有利になります。画像の圧縮、遅延読み込みの設定、ファーストビュー付近に広告があるかどうか。この3つを見ておけば十分です。
よくある疑問
Q. 何か設定を変える必要は? ありません。2027年2月17日に自動で切り替わります。
Q. 収益は減りますか? ヘルプは明言していません。減ると明記されているのはカウントの方です。上に書いたとおり、消えるのは元から収益になりにくかった分だと考えるのが自然です。
Q. これでビューアブルインプレッションになるということ? 違います。レンダリング開始時方式は「描画が始まった」時点です。「ユーザーに見えた」を測るビューアブルインプレッションとは別の指標のままです。
Q. アプリ(AdMob)や動画広告は? すでにレンダリング開始時方式なので、今回の変更対象ではありません。
Q. Google Ad Manager は? 同時に実施されます。
Q. 過去のデータは遡って修正されますか? ヘルプに記載はありません。切替日以降の集計が変わる、という書き方です。
まとめ
- 変わるのは数え方だけ、日付は2027年2月17日、対応は不要
- ダウンロードが始まった時点 → 描画が始まった時点でカウント
- 対象はディスプレイ広告。ネイティブ・アプリ・動画はすでに移行済み
- インプレッションは減る可能性がある。減りやすいのは、直帰が速い/重い/モバイル中心のサイト
- 収益への言及はヘルプに無い。判断はページRPMで見るのが安全
- やることは「日付を控える」「切替前の数字を残す」「表示を速くする」の3つ
数字が下がったときに慌てないための記事です。下がるのは実力ではなく、物差しの方です。
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